「輝天炎上」 海堂尊 著 レビュー



輝天炎上

本 内容
桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から1年後。東城大学医学生・天馬大吉は学校の課題で「日本の死因究明制度」を調査することに。同級生の冷泉と関係者への取材を重ねるうちに、制度自体の矛盾に気づき始める。そして、碧翠院の跡地にAiセンターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命されたことを知る。時を同じくして、碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残りが活動を開始する。東城大への復讐を果たすために―。



アヒル。 目次

序章 二重螺旋の悪魔

第一部 僕たちの失敗
1章 極上の優等生
2章 公衆衛生学教室・清川司郎教授
3章 セピア色の因縁
4章 法医学教室・笹井角男教授
5章 放射線医学教室・島津吾朗准教授
6章 時風新報社会部・別宮葉子記者
7章 ふたつの電話
8章 浪速大学医学部公衆衛生学教室・国見淳子教授
9章 ナニワのクリスマス・イヴ
10章 浪速市監察医務院・鳥羽欽一院長
11章 房総救命救急センター・彦根新吾医長
12章 循環器内科学教室・陣内宏介教授
13章 臨床の季節
14章 プリティ清川、再び
15章 神経内科学教室・田口公平講師
16章 東城大学破壊指令
17章 医学のチカラ

第二部 女帝の進軍
18章 翻意
19章 帰還
20章 羽化
21章 陰謀
22章 冥界

第三部 透明な声
01 凍土
02 薫風
03 帰還
04 僥倖
05 魔窟
06 挑発
07 傾聴
08 煌めく塔

第四部 真夏の運命
23章 落第王子の当惑
24章 田口センター長、登壇
25章 戦車上のアリア
26章 リヴァイアサン見学ツアー
27章 錯綜する想念
28章 奇襲攻撃
29章 運命の衝突
30章 よみがえる面影
31章 炎の祝福
終章 手紙


単行本: 397ページ
出版社: 角川書店
発売日: 2013/2/1


海 読後レビュー。

「螺鈿迷宮」続編かつ完結編。そして「ケルベロスの肖像」のアナザーストーリー。

あぁ、天馬くんだ。
天馬くんがどうなったのか、ずっと気になってました。
だから天馬くんが登場するこの「輝天炎上」はすごく楽しみにしていて、さらに「ケルベロス」で消化不良だったことも併せて、ものすごく期待してました。

前半は、天馬くんがでんでん虫炎上からどうしていたのか、さらに葉子のライバルになりそうな聡明な美女・冷泉美幸や、「ひかりの剣」で学生だった清川司郎も登場して、期待度上がりまくりでした。
さらにさらに、「ナニワ・モンスター」関連の浪速や彦根も登場。
とうとう恋敵と一方的に思っている田口せんせとも出会い、
天馬くんの運命がこれでもかと東城大と碧翠院の因縁に絡みつけられていきます。
そして、今回、いろいろなことが明らかになりました。
今まできっとそうだろうと思われてきた城崎の正体、
「ケルベロス」での最後のシーンの声の正体とか。

しかし、納得いかない部分もいくつか。
田口せんせは、なぜ天馬くんをAi連絡会議のオブザーバーに指名したのか、それは、やっぱりよくわかりませんでしたね。碧翆院との因縁があるってレポートをみただけで、どうして会議に学生を指名するのか?

それから小百合が小百合に戻ってからの行動や、もう一人が自分のそれまでを回顧したところとか、違和感があって、物語がすっと入ってきませんでした。
「今の私の姿は見えない」ってどういうことでしょう。
彼女が天馬くんと出会うところも、違和感ありまくりでした。
彼女の手紙もね。
だって・・・。

シンポジウムの日からは「ケルベロス」で語られているし、天馬君目線なので、多くが省かれていて、なかなか物語に入り込めなかったし。これ「ケルベロス」読んでなくてもわかるのかな?

あの「そこまでだ」以降の天馬くんの発言。
昔の探偵もの?みたいで芝居がかってて、まぁそれも頼まれたから・・・っていう理由??

そして、これで完結のはずなのに、まさかまさか、また他の話で登場するのでしょうか?
どこまでしぶとい?

前半は、天馬くんと碧翆院の生き残り・美智との関係や、冷泉とのどきどきするような展開もありました。
後半は、??という部分があるんですよね・・・。
それに、最後の場面、天馬くんは気持ちの整理がついたんでしょうか。

完結編でも「?」が多く、私の理解力では一度読んだだけでは100%理解できませんでした。
何度も読み返すうちに理解できるかな・・・。



<登場人物> 

(注)登場人物一覧を見るとネタバレしちゃいます。見たくない方は気をつけてください。


東城大学医学部関係者

天馬大吉 : 東城大学医学部5年生28歳。
       東城大学医学部前の雀荘「スズメ」に入り浸る落ちこぼれだったが、
       桜宮病院炎上事件の頃から真面目に授業に出ている。
       公衆衛生学のレポートは特A。田口を敵視。

冷泉深幸 : 天馬と同じZ班。ツイン・シニヨンの優等生美人。

田口公平 : 不定愁訴外来主任(通称・愚痴外来)神経内科学教室講師。
       リスクマネジメント委員会委員長。
       Aiセンター・センター長。Aiシンポジウム実行委員長。

清川司郎 : 公衆衛生学教授。学生からプリティ清川と呼ばれる。。

高階権太  : 東城大学医学部付属病院院長。東城大の阿修羅。腹黒タヌキ。

島津吾朗  : 放射線科准教授。田口の同期。Aiセンター副センター長。

陣内宏介  : 循環器内科教授。
笹井角男  : 法医学教室教授。
兵藤    : 神経内科。
副島真弓  : 小児科教室准教授。

矢作隆介  : 東城大学医学部天馬と同じZ班。
湯元久美  : 東城大学医学部天馬と同じZ班。


桜宮病院・碧翆院関係

桜宮小百合 : 桜宮病院の副院長。呼吸器内科。「レディ・リリィ」と呼ばれる。 30代後半。
        すみれと一卵性双生児。

桜宮すみれ : 碧翠院の副院長。神経内科専門。

他病院Aiセンター関係者

彦根新吾  : 房総救命救急センター診断課・病理医。

桧山シオン : ジュネーブ大学画像診断ユニット准教授。

東堂文昭  : マサチューセッツ医科大学特別上席教授。


厚生労働省  

白鳥圭輔 : 厚生労働省大臣官房秘書課付 兼
       医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長 

姫宮香織 : 厚生労働省医政局
       中立的第三者機関医療事故調査委員会設置推進準備室室長補佐


警察関係

斑鳩芳正 : 桜宮警察署広報課室長。SCL(桜宮科学捜査研究所)創設。
棚橋   : 桜宮市警察署鑑識課の監視機関。年齢30~40代。

浪速大学関係

国見淳子  : 浪速大学公衆衛生学教室教授。
本田    : 浪速大学公衆衛生学教室講師。
鳥羽欽一  : 浪速大学法医学教室教授、兼、浪速市監察医務院院長。


その他

別宮葉子 : 時風新報社会部主任。天馬の幼馴染みで美人。 あだ名は「ハコ」

城崎亮  : 4Sエージェンシー社長。

小倉勇一 : 医療事故被害者の会代表。「バチスタ・スキャンダル」の被害者の遺族。

飯沼   : 医療事故被害者の会事務局員。

西園寺さやか : 医療ジャーナリスト。網膜色素変性症。
         声が出ないため電子音声システムを使用。
         アクリル製の白いマスクで顔の下半分、目元は黄色いサングラスで隠す。

高原美智  : ドア・トゥ・ヘブンの最後の患者。
        田口の受け持ちの乳がん末期患者。
        碧翠院の三婆トリオ、赤・孫悟空だった。


南雲忠義  : 元極北市監察医務院院長。
杏子  : 碧翠院の患者。南雲忠義の娘。

マリツィア : モナコ公国を建国したマリツィアの直系、分家第25代当主。
        王族で公位継承権第七位。建築家。
        当時、天城からセンターの設計を委託された。

世良雅志  : 極北市民病院新院長。
小松    : 「バッサリ斬るド」ディレクター。
大道幸広  : 帝華大学医学部第三内科学教室教授。

三枝茉莉亜 : マリアクリニック院長。
曽根埼理恵 : マリアクリニック女医。
ユミ    : マリアクリニック患者。

鶴岡   : 極北市民病院の看護師長。

*名前のみ

桜宮巖雄 : 桜宮病院の院長。警察医協会の副会長。銀髪の獅子。東城大出身。
桜宮華緒 : 碧翆院院長。
桜宮葵  : 巌の長女。

佐伯清剛  : 元東城医大病院長。
鏡博之   : 元東城医大佐伯外科医師。
渡海征司郎 : 元東城医大佐伯外科医師。
沼田    : 精神科准教授。エシックス委員長。

天城雪彦 : モンテカルロのエトワール。神の手を持つ天才外科医。
       センターの設計を建築家に委託。

速水晃一 : 東城大救命救急の元センター長。極北に出向中。「すずめ四天王」の一人。
黒崎   : 東城医大臓器統御外科教授。
三船   : 東城医大事務長。
三枝久広 : 極北市民病院産婦人科。

北山錠一郎 : 元警察庁刑事局局長。
宇佐見壮一 : 警察庁初動遊撃室警視。

百瀬  : 東城医大法医学教室助手。大学院生。

村雨  : 浪速府知事。

田端  : 東城大学医学部空手部所属。天馬の友人。
森村  : 東城大学医学部。昨年冷泉と同じ班。

加代  : 碧翠院の患者。三婆トリオ。青・猪八戒。
トク   :碧翠院の患者。三婆トリオ。黄・沙悟浄。
千花  : 碧翠院の患者。桜宮病院炎上の火の朝に死亡。

屋敷  : 日本産婦人科学会理事長。
西郷綱吉 : 上州大学医学部法医学教室教授。

福山市長 : 極北市前市長。逝去。
下平教授 :「桜宮の郷土史」の執筆者。
冷泉教授 :「桜宮の郷土史」の執筆者。帝華大。
門間   :「桜宮の郷土史」の執筆者。

鶴岡美鈴 : 極北市民病院の看護師長の娘。

浜田小夜 : 元東城医大看護師。その前は桜宮病院で働いていた。
水落冴子 : 歌手。

キヨ   : 冷泉家のお手伝い。
飯沼達治 : 以前の東城医大の患者。


登場人物作品関連図はこちらをクリック!


●時期
2008年11月11日~2009年8月30日まで




<ネタバレメモ>
      *以下、ネタバレ含みますので、見てもいい方だけ、ドラッグしてください。


・とうとう「ケルベロス」での最後のあの声の正体が明らかになりました。「今度は逃がさないわよ、小百合」これはやはりすみれの声でした。なぜすみれが生きているか。「螺鈿迷宮」から仕込んでいたというトリック。でんでん虫火災当日の朝に、死んで焼かれていたはずの千花が、実は生きていて、巌男たちと一緒に焼かれていったため、巌男、華緒、葵と合わせて計4体の遺体が残ったというトリックでした。巌男が小百合は逃げると考えていてやったことなんですが、すみれ、小百合の2人を死んだことにしてどうするつもりだったんでしょう。
小百合は確かに東城医大への復讐のために行動を開始します。でも、すみれは小百合の行動を監視し、東城医大への攻撃を阻止してから、自分が東城医大を破壊するという。うーん、難しい。この2人の心情は私には理解できないな。

・最後の最後、Aiセンターの爆破、火災の中、すみれと小百合はどうなったのか?そして、なぜ天馬くんはあんなにあっけなく排除されたんでしょう?
これが完結なのに、すみれと小百合がどうなったのかわからないなんて!
それにあれだけの仕掛けを小百合はどうやったんだろう。マリツィアが依頼通り設計してくれたとはいえ、小百合が自ら爆発物を作り、しかけた??
マリツィアはこのAiセンターが炎で焼かれることをわかっていたようですが、天城のため、血縁の小百合たちのためとはいえ、犯罪に加担したことになるんですよ!

・今回いろんなことが明らかになりました。
城崎はやはり、桜宮家の長男でしたし、まりあ先生は桜宮華緒と姉妹でした。
マリツィアは小百合たちのいとこ。すなわち、まりあ、華緒の姉妹の息子。
そして、極北の三枝久広も小百合たちのいとこ。小百合は、いとこである久広を逮捕させたんです。
そこも理解できない。なんでわざわざ極北の地でそんなことを??

・小百合がマリアクリニックで曽根崎理恵に言う言葉も「何?どういうこと?」

・城崎からすみれを紹介された天馬くんのシーン。ものすごくはしょられていて、感動の再会シーンでもなく、なんというか、あんなに恋い焦がれていた死んだはずの想い人に突然会えたシーンにしては・・・。結局、シンポジウムでのすみれの助手を頼まれて、分かった上で乗り込んでるんですけど、うーん・・・。

・すみれが生き残ってからのことをすみれ自身の一人称の形で語ってるんですが、その中でもよくわからないところがあります。極北で鶴岡さんの娘として暮らせたのも不思議。

・桜宮についた小百合が初めに住んだのが流星荘。「ナイチンゲール」で瑞人の父親が殺された部屋。南雲親子はメゾン・ド・マドンナに住みました。そう、曽根崎理恵の母、山咲みどりが住んでたマンションです。
もう、因縁だらけで、大変ですね。

・冷泉美幸はどうも天馬くんが気になる存在のようで、浪速に話を聞きに行った晩は、誘ってもいるようでしたね。さらに赤れんがのエレベーター内では、自ら天馬くんに唇を重ねていきました。お礼とは言っていたけど、別宮葉子に対しての態度からしても、特別な思いを持っているのは確かですね。
ただ、天馬君自身は、やはりすみれが好きなんでしょうね。そこまで好きな人を、なぜあの最後で救えないのか?なぜあんなに簡単に排除されちゃうのか!やっぱりへたれだ。


いろいろな人、もの、場所が絡み合い、これでもか!と伏線を回収に行きましたね。
納得いかない部分も多いですが、またゆっくり読んで理解していきたいと思います。

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海堂尊-小説 | 2013-02-22(Fri) 23:23:12 | トラックバック:(0) | コメント:(4)
コメント
「ケルベロス」の時も思ったんですけれど、この「輝点炎上」も読んでて、今ままで以上にご都合主義を感じてしまったんですよねえ。
千花さんの遺体がすみれさんの遺体の代わりになって、彦根の恋人のシオンも桜宮一族に繋がっていて。一番の問題は厚労省マターではない、大学病院廃院などの問題も白鳥任せなの?って感じで
細部の設定が手抜きになってる事なんですよね。
桜宮関係は天城を含めて地縁・血縁で繋がり過ぎていて、「ここでその人間関係が要る?そこは繋がっていないのが普通では?」って思う展開なんですよ。桜宮サーガは少し広げ過ぎたと思います。
2013-03-10 日  14:24:30 |  URL | 迷い猫 #- [編集]
迷い猫さん

> 「ケルベロス」の時も思ったんですけれど、この「輝点炎上」も読んでて、今ままで以上にご都合主義を感じてしまったんですよねえ。

そうですね・・・。広げた世界をリンクさせるだけでなく、うまくまとめるのってほんとに難しいですね。

> 千花さんの遺体がすみれさんの遺体の代わりになって、彦根の恋人のシオンも桜宮一族に繋がっていて。一番の問題は厚労省マターではない、大学病院廃院などの問題も白鳥任せなの?って感じで
> 細部の設定が手抜きになってる事なんですよね。

シオンもつながってましたっけ?シオンは違いましたよね??

> 桜宮関係は天城を含めて地縁・血縁で繋がり過ぎていて、「ここでその人間関係が要る?そこは繋がっていないのが普通では?」って思う展開なんですよ。桜宮サーガは少し広げ過ぎたと思います。

つながりすぎっていうのは、とても思いますけど、それよりも、そのつながりがそこまで強いの?っていう部分もあったりしますね。都合よくまとめた感を感じてしまう部分もありますし、もやもやしちゃいましたね。
2013-03-11 月  00:11:01 |  URL | 海堂尊ファン #- [編集]
鶴岡さんの娘として暮らせたのは南雲の協力だと思います。途中で出てきた体ごとホルマリン漬けされた子供は看護婦の子供で小百合と同い年なのでその看護婦が鶴岡さんだと思います。南雲はすみれをお嬢ちゃんと呼んでいたのと西園寺さやかの戸籍を用意できたので戸籍を用意するのは簡単なのかなって。最後で南雲が座った場所が明らかに不自然でした。(高階とか田口がいる側。)それで連絡取れないし直接会えないので鶴岡さんに頼んだ。違うかもしれませんが。それと浪速の人が学生を舐める社会は・・・っていうやつ副島さんが言ってたことと似てませんか?他にも清川司郎は光の剣では清川志郎でしたよ。
2013-10-06 日  23:06:05 |  URL | クラムボン #- [編集]
クラムボン さん

こんばんは。

> 鶴岡さんの娘として暮らせたのは南雲の協力だと思います。途中で出てきた体ごとホルマリン漬けされた子供は看護婦の子供で小百合と同い年なのでその看護婦が鶴岡さんだと思います。南雲はすみれをお嬢ちゃんと呼んでいたのと西園寺さやかの戸籍を用意できたので戸籍を用意するのは簡単なのかなって。最後で南雲が座った場所が明らかに不自然でした。(高階とか田口がいる側。)それで連絡取れないし直接会えないので鶴岡さんに頼んだ。違うかもしれませんが。それと浪速の人が学生を舐める社会は・・・っていうやつ副島さんが言ってたことと似てませんか?

そうすると、南雲はすみれが生きていることを知っていたということになりますね・・・。
鶴岡さんが勝手にやったことではないのでしょうか・・・?

>他にも清川司郎は光の剣では清川志郎でしたよ。

確かにそうですね。島津の漢字も違っていたり、わりとそういう間違いがあるみたいです(笑)
出版社に問い合わせや指摘のメールをしても返事がないのですが(^_^;)
2013-10-12 土  23:14:44 |  URL | 海堂尊ファン #- [編集]
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