『救命―東日本大震災、医師たちの奮闘』 レビュー



救命―東日本大震災、医師たちの奮闘

本 内容
彼らが、最後のライフラインだった―津波が全てを奪っても、命の可能性を信じ続けた九人の医師たち。生と死を分けた凄絶な現場を初めて語る、感動のドキュメント。

単行本: 253ページ
発売日: 2011/08


海 読後レビュー

出版直後に読んでからずいぶん時間が経ってしまいました。レビューを書いてないことに気づき、改めて・・。
さて、これは海堂さんの本ではなく、海堂さんが監修という形で出されている、東日本大震災で被災した医師、現地で対応したの9人の医師にインタビューしたものをまとめた本です。

それぞれ皆、正直にその時の気持ちを語り、行動を振り返り、考えを述べられています。
一人目の菅野武さんは、宮城県南三陸町の公立志津川病院の医師で、自ら被災しながら、医療スタッフとともに患者を助け、励まし合いながら過ごした救出までの時や、その後被災地の病院に戻って活動したことがつづられています。
ニュースでインタビューを受けた医師の方々の話も見ましたが、断片しか知らなかったその時の状況をさらに少しうかがい知ることができました。

また宮城県歯科医師会でご遺体の身元確認をされていた江澤康博さんの話なども、読んでいるだけで非常につらくなりました。
この国は危機意識があまりにも低いと以前から感じられていたという江澤さん。私は、声高にそう言えるだけの考えを持っているわけではないのですが、新聞、ニュース、いろいろな本を読んでいると感じる部分はあります。原発の問題や震災などがあると、やはり危機管理を考えざるを得ません。

そういえば海堂さんの「玉村警部補の災難」に掲載されている「エナメルの証言」では、歯をいじって遺体を違う人に変えてしまう話が出てましたね・・。

医師が闘っている姿を垣間見ることができたこの本。
海堂さんが最後に載せている「いのちを救い、死を悼む」という文があります。
ここで、心にずっと残っている文章があります。

ニュースでがれきの話が出るたびに、心が痛くなるのですが、

『「がれき」は持ち主が生きた証であり、その人が大切にしていたもの、ゴミ箱行き予定のもの、人目に触れぬよう隠し持ったものなどが渾然一体となったもの・・・。』

そうか。そうだよね。私たちやニュースが「がれき」と呼んでいるものは、すべて人の営みの中にあったものなんだ。これが自分の家だったら、私はそれを「がれき」とは呼ばない。

そして、もう一つ自分の中の冷たい、そして勝手な部分を言い当てられた気がした文が

『人間はふたとおりに分けられる。被災した人間と、被災していない人間。』
『~そうした戦いをさらに熾烈なものにするのが、被災しなかった人々の無関心と鈍感さなのだ』

そうだな。その通りだな。
私は阪神淡路大震災で被災しましたし、友人を亡くしましたが、その時もそう思いました。

でも、私は「無関心と鈍感さ」に加えてもう一つ思ったことがあります。
それは、「忘却」

時が過ぎるにつれて、人々は忘れちゃうんですよ。

私もそうです。

いろいろなことを考えた本でした。



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海堂尊-その他書籍 | 2012-04-27(Fri) 12:23:59 | トラックバック:(0) | コメント:(0)
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